ものづくり補助金は、個人事業主の方でも申し込みをすることが可能です。補助金額が1,000万円と高めになっているため、利用できれば更なる事業展開に役立てることができます。そこで、気になる採択率や採択事例についてご紹介するので、参考にしてみてください。
目次
ものづくり補助金概要
ものづくり補助金とは、中小企業や小規模事業者が、新製品・サービスの開発や生産プロセスの改善を行う際に必要な設備投資を支援する補助金です。生産性向上や競争力強化を目的とし、革新的な取り組みを後押しします。
※正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」
※12/17の補正予算案成立により、2025年の実施も正式に決定しました。
2025年度第19次ものづくり補助金の簡単な概要は下記の通りです。
項目 | 要件 |
概要 | ①<製品・サービス高付加価値化枠>革新的な新製品・新サービスの開発による高付価値化 ②<グローバル枠> 海外事業の実施による国内の生産性向上 |
補助金額 | ■製品・サービス高付加価値化枠 5人以下750万円(850万円) 6~20人1,000万円(1,250万円) 21~50人1,500万円(2,500万円) 51人以上2,500万円(3,500万円) |
■グローバル枠 3,000万円(3,100万円~4,000万円) | |
※大幅賃上げ特例(補助上限額を100~1,000万円上乗せ。上記カッコ内の金額は特例適用後の上限額。最低賃金引上げ特例事業者、各申請枠の上限額に達していない場合は除く。下記①、②のいずれか一方でも未達の場合、補助金返還義務あり。) ①給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上増加 ②事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水準 | |
補助率 | 中小企業:1/2、小規模事業者:2/3、再生事業者(①枠のみ):2/3 ※最低賃金引上げ特例あり。 |
その他 | 収益納付は求めない |
補助対象経費 | 【共通】機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費 【グローバル枠のみ】海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費 |
基本要件 | ①付加価値額の年平均成長率が+3.0%以上増加 ② 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上 又は給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加 ③事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準 ④次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ) ※最低賃金引上げ特例適用事業者の場合、基本要件は①、②、④のみとする。※3~5年の事業計画に基づき事業を実施、毎年、事業化状況報告を提出すること(事業成果確認のため) ※基本要件等が未達の場合、補助金返還義務がある |
(中小企業庁 令和6年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の概要)
2025年度第19次「ものづくり補助金」の詳細については以下の記事で詳しくご説明しています。

ものづくり補助金の個人事業主の採択率は?
ものづくり補助金の採択率は残念ながら高いとはいえず、おおよそ6~10%程度とされています。公募によっては8%程度になることもありますが、4%台の採択率となった公募もあるため、個人事業主のものづくり補助金採択率はかなり低いと考えておいたほうが良いでしょう。
例えば、平成21年の1次公募を確認してみると、9,443の業者が採択されたのですが、そのうち個人事業所数は522と、全体の5.5%でした。日本に国内における個人事業主の数は総企業数の半数ほどを占めています。
しかし、近年は少し動きが変わり、令和1年度補正1次公募では全体採択数が1,429であるのに対し、個人事業者数は152、割合としては10.6%となりました。また、平成30年度補正2次公募でも全体採択数が2,063に対し、個人事業所数は200、その割合は全体の9.7%となっています。
このことから、ものづくり補助金全体における個人事業者の割合は少しずつ増えてきている状況です。
採択割合が増えている理由
大きな理由として挙げられるのが、申請条件として給与アップが義務化されたことです。中小企業の中には少額の賃上げでも難しいケースがありますが、申請要件として「給与支給総額年率1.5%以上増加」と、「事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上」が定められています。
この条件を満たすことができない中小企業からの申請が減った分、個人事業主の採択率が増えた可能性も考えられるのです。
個人事業主はモノづくり補助金申請において不利なのか?
ものづくり補助金の採択率が低いということは、それだけ中小企業と比べて不利ともいえます。その理由として挙げられるのが、以下の3点です。
技術的能力
技術面に関する審査項目であり、補助事業実施のための体制の他にも技術的能力が備わっているかどうかが評価されるのですが、ある程度大きな規模の企業と比べるとどうしても不利です。
この補助金を受け取るためには、技術力があることをしっかりとアピールしなければなりません。しかもその取り組み内容には革新性が必要とされているのです。
たくさんの社員がいる中小企業では、社員からも意見を募るなどして様々なアイディアを考えることができますが、小規模事業者である個人事業主の場合はこれが難しくなってしまいます。
採択されるためには、一般的ではない新たなサービスや生産方式を取らなければならないため、このあたりも課題です。新しいサービスや生産方式といっても未知のものを作り出さなければならないわけではなく、例えば同業種や近隣地区において他に類似した商品やサービスを提供している事業がなければ認められる可能性が高くなります。
革新性のある取り組み内容を考えることができたとしても、他に課題や目標を明確にすることも求められますし、しっかり計画を立てていかなければなりません。
補助事業実施のための体制
審査項目の中で補助事業実施のための体制が備わっているか評価されるのですが、個人事業主は組織構造を作るのが難しく、不利だといえます。「体制」と言われてもピンとこないかもしれませんが、これは組織でどのようなことを行っているのかを明確に伝える必要があるのです。
しかし、個人事業主の場合は例え革新性のある事業を考えることができたとしても、それを実現するための体制が整っていないケースも多く、机上の空論のように思われてしまう可能性もあります。実効性がないと判断された場合には審査が厳しくなってしまうのです。
財務状況
特に小さな企業は財務状況が時期によって悪くなったり、常に良いとは言えない状態にあったりするケースも多く、このあたりもものづくり補助金の審査で評価が低くなってしまうポイントです。売上が安定している中小企業とは異なり、小規模な個人事業者ほど財務状況が厳しいことが多いといえます。
こういった様々な理由によって、中小企業に比べると個人事業主の採択率が低くなっていると考えられるのです。
個人事業者の採択事例
ものづくり補助金において、実際にどのような業務を行っている個人事業者がどのような内容の事業計画で採択されているのかについて、いくつかを紹介しましょう。
特に個人事業者の採択事例として特に目立つのは歯科医(歯医者)で、採択された企業の個人事業者のうち半数ほど締めています。この割合も年々徐々に高まっており、平成29年度補正1次公募では25%程度しかなかったものの、令和1年度補正1次になると50%を超えています。
採択された事業計画について調べてみると、口腔内スキャナー等の機器類を導入することにより、詰め物や被せ物といったものを内製化する事業計画が採択されていました。他にも、口腔内のデータを一括管理することによって歯科技工物プラットフォームを確立させたり、コロナ禍の状態でも歯科治療を希望する全員を受け入れ可能な体制を確立するための事業計画などが採択されたりしています。
その他の採択事例
歯科医以外では例えば動物病院関係も多いです。事業内容としては審査精度を向上させることにより、高齢化したペットへ高度な検査を可能にする取り組みや、ペットの高齢化に対応するための超低侵襲治療の実現などが挙げられます。
他にも、製造業では海外向け部品の加工や生産性の向上に関する事業が採択されていたり、パン工房では最新のパン製造設備を導入し、合理化と生産性の向上を目指す事業が採択されたりしています。
十分な準備をしてから申請することが重要
ものづくり補助金は中小企業と比べても小規模な個人事業主の採択率は高いとは言えない状況です。しかし、ご紹介したように賃上げ要件などの関係もあって少しずつ採択率は増えているので、必ずしも諦める必要はありません。
採択率をアップさせるためにはできる限り準備を整え、少しでも確率をあげた上で申請するようにしましょう。ものづくり補助金を申請するためには必要な書類などもたくさんあるので、準備に時間がかかることを想定し、早い段階から動き出すことをおすすめします。
※ものづくり補助金 19次公募が始まりました。詳細については、当ブログにて随時ご紹介させていただきます。
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ものづくり補助金をはじめとして事業再構築補助金、中小企業省力化投資補助金のサポートに関しましても行っており、多数の採択実績があります。また、交付申請や事業化状況報告等補助金申請後のご相談やサポートも承っております。お困りごとがございましたらお気軽にご連絡下さい。
駒田会計事務所【コマサポ】 代表 駒田裕次郎 税理士・公認会計士
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