第10次からものづくり補助金で新設された回復型賃上げ・雇用拡大枠。
採択率の優遇や補助率が2/3となるなどメリットの大きい反面、目標未達の場合は補助金の全額返還しなければならないことも。
一般枠で申請しようか、回復型賃上げ・雇用拡大枠で申請しようか悩まれている方もいらっしゃいますよね。
そこで今回はものづくり補助金の回復型賃上げ・雇用拡大枠の概要や通常枠との違いについて解説していきます。
ものづくり補助金の回復型賃上げ・雇用拡大枠の概要
ものづくり補助金の回復型賃上げ・雇用拡大枠の概要は下記の通り。
概要 | 業況が厳しいながら賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者(※)が行う、革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援 ※応募締切時点の前年度の事業年度の課税所得がゼロであり、常時使用する従業員がいる事業者に限る。 |
補助金額 | 従業員数 5 人以下 :100万円~750万円 6人~20人:100万円~1,000万円 21人以上 :100万円~1,250万円 |
補助率 | 2/3 |
設備投資 | 単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要 |
補助対象経費 | 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費 |
回復型賃上げ・雇用拡大枠は基本要件に加えて、下記の3つの要件が求められています。
①前年度の事業年度の課税所得がゼロ以下であること
②常時使用する従業員がいること
③補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、その時点での給与支給総額、事業場内最低賃金の増加目標を達成すること。
特に厳しいのが③の要件です。
人件費を上げなければ、回復型賃上げ・雇用拡大枠を利用することはできません。
自社の経営状況を顧みて、賃上げができるかどうかよく検討する必要があります。
通常枠と回復型賃上げ・雇用拡大枠と具体的な違いについて次の章で解説していきます。
通常枠と回復型賃上げ・雇用拡大枠の違い
通常枠と回復型賃上げ・雇用拡大枠の違いは下記の通り。
- 補助率が回復型賃上げ・雇用拡大枠が2/3、通常枠は原則1/2
- 回復型賃上げ・雇用拡大枠は不採択の場合、通常枠で再審査される
- 回復型賃上げ・雇用拡大枠は要件未達で補助金返還
- 回復型賃上げ・雇用拡大枠の方が申請・提出書類が多い
具体的に解説していきます。
補助率が回復型賃上げ・雇用拡大枠が2/3、通常枠は原則1/2
補助率が回復型賃上げ・雇用拡大枠が2/3、通常枠は原則1/2となっており、回復型賃上げ・雇用拡大枠の方が高いです。
(※小規模企業者・小規模事業者、再生事業者は通常枠でも2/3)
回復型賃上げ・雇用拡大枠は不採択の場合、通常枠で再審査される
回復型賃上げ・雇用拡大枠は不採択の場合、通常枠で再審査されます。
つまり、回復型賃上げ・雇用拡大枠の方が採択される可能性が高いということになります。
回復型賃上げ・雇用拡大枠は要件未達で補助金返還
回復型賃上げ・雇用拡大枠は要件未達で補助金返還義務が生じます。
公募要領の中で下記の通り記載があります。
<回復型賃上げ・雇用拡大枠において、給与支給総額又は事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合>
・回復型賃上げ・雇用拡大枠は、従業員に対する賃上げ等を前提とした優遇制度であることから、上述の2つの増加目標未達の場合に加え、同枠で採択された事業者が補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、給与支給総額又は事業場内最低賃金の増加目標のいずれか一方でも達成できていない場合には、補助金交付額の全額の返還を求めることとします。(令和元年度補正・令和3年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
公募要領(12次締切分) P13)
回復型賃上げ・雇用拡大枠の方が申請・提出書類が多い
回復型賃上げ・雇用拡大枠の方が提出書類が多いので手間に感じるかもしれません。
通常枠で用意すべき書類は下記の通り。
- 事業計画書
- 賃金引上げ計画の誓約書【様式1】
- 決算書等
- 従業員数の確認資料
- 労働者名簿
回復型賃上げ・雇用拡大枠は上記の加えて、下記の書類も必要となります。
- 課税所得の状況を示す確定申告書類
具体的には法人の場合は下記の通り。
(1)確定申告書別表一(一)の控え(事業者名)
(2)確定申告書別表四の控え(事業者名)
(3)受信通知(事業者名)
個人事業主の場合は下記の通り。
(1)確定申告書第一表の控え(事業者名)
※所轄税務署の収受日付印が押印(受付日時の印字)されていること
が必要です。
(2)確定申告書第四表(一)及び(二)の控え(事業者名)
(3)受信通知(事業者名)
まとめ
今回はものづくり補助金の回復型賃上げ・雇用拡大枠の概要や通常枠との違いについて解説してきました。
ポイントは下記の通り。
- 回復型賃上げ・雇用拡大枠は補助率2/3と優遇、採択率も優遇傾向に
- ただし、賃上げなどの要件があり、未達の場合は補助金返還しなければならない
- 賃上げ・雇用拡大ができるかどうか検討してから申し込むべき
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