中小企業をサポートする力強い補助金、「ものづくり補助金」。日本のものづくりを支えている中小企業や小規模事業者等を対象に、革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援する目的で設けられた補助金です。
建設業は、近代日本を支え続け、今後も日本のインフラ整備に不可欠な役割を担う業界です。新規分野への事業展開や新しい施工技術の導入を検討されている建設事業者の方々には、ぜひものづくり補助金をご活用いただきたいと考えています。
本記事では、建設業界におけるものづくり補助金の採択事例を紹介するとともに、「足場事業」を具体例として、補助金の活用方法や採択に向けたポイントを解説していきます。
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建築業界の現況と市場規模
まず、建築業界の現在の現況についてご紹介したいと思います。
日本の建築市場は、2020年度の新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に縮小したものの、2021年度以降は『防災・減災、国土強靭化のための 5か年加速化対策』などの公共事業の推進や、民間投資の回復により、堅調に推移しています。令和3年度(2021年度)には総投資金額は59兆円にも及び、コロナ前の水準を回復しています。
特に、都市再開発事業や物流施設の建設が活発化し、非住宅セグメントの成長が顕著です。今後、インバウンド需要の回復や、脱炭素化に向けた動きが加速する中、建築業界はさらなる成長が期待されています。ただし、建設労働者の高齢化や人材不足、資材価格の高騰といった課題も存在しており、これらの課題に対応するための新たな技術開発やビジネスモデルの構築が求められています。
ものづくり補助金の建設業界採択例
建築業界では、これまでも多くの事業が「ものづくり補助金」に採択されてきました。13次~16次のものづくり補助金の申請者業種でも、製造業についで2位をしめ、16次の採択率は55.1%を記録しています。
具体的には、以下のような採択事例があります。
- 大型建設機械の導入による生産性向上
- ICT重機導入による施工期間の大幅短縮
- 3次元BIM/CIMデータ活用による業務改善
- ドローンを活用した測量業務の効率化
- 請求書管理システムの導入による生産性向上 など
ものづくり補助金の建築業界採択例「足場ビジネス」
建築現場に必須となる『足場ビジネス』も、ものづくり補助金の補助対象となる事業です。
ものづくり補助金では足場関連事業で毎回の公募で複数の採択事例があり、ビジネスモデルさえしっかりしていれば問題なく採択される分野と言えるでしょう。
新しい足場材の開発や、AIを活用した作業効率化など、様々な取り組みが可能になります。これにより、安全性向上、コスト削減、工期短縮といった効果が期待できます。新型コロナウイルスの影響で厳しい状況にある建設業界において、この補助金は、事業の競争力強化に繋がる絶好のチャンスといえるでしょう。
ものづくり補助金を活用すれば、足場事業における採択事例
足場事業は建設業における重要なインフラを支える分野であり、効率性や安全性の向上が求められます。以下は、実際にものづくり補助金で採択された足場事業の事をご紹介します。
1. 重機足場の準備作業の効率化
公共交通網の構築に伴い、仮設工が不要な短納期土木施工体制を構築した事例です。
重機足場の効率的な準備作業を実現するため、新しい技術を導入して施工時間を短縮し、コスト削減するような事業計画だと考えられます。
2. 足場の洗浄・メンテナンス工程の自動化
手作業に依存していた足場の洗浄やメンテナンス工程を全自動化する装置を導入し、人件費の削減と効率的なメンテナンス体制を構築したと思われる事例です。
これにより作業員の負担軽減だけでなく、品質の均一化と業務スピードの向上も実現可能となります。
3. VRと無足場工法を活用した新サービス
VR技術を用いて建設現場の設計・管理を効率化し、無足場工法を導入することで、ビルや建物のロングライフ化を目指した取り組みです。
VR技術は革新的な技術である点が採択されたポイントかと思われます。
安全性の向上と施工コストの削減を両立が可能となります。。
4. 高速洗浄サービスの開発
足場板や仮設工事部材を高速かつ効率的に洗浄する新しいサービスを開発する事例です。
環境負荷を大幅に軽減しつつ、作業時間を短縮することで、多くの建設現場から高評価を得ています。
また、洗浄後の部材再利用率の向上も実現しました。
5. 次世代足場材の導入と新サービス開発
組立と解体を迅速化できる次世代足場材を導入し、それに基づく新しいサービスを展開した事例です。
施工現場での作業時間を短縮するとともに、従来型足場材の課題であった安全性と耐久性の改善が可能となります。
6. DX化による足場設計・設置工事の効率化
仮設足場の設計と設置工事プロセスをデジタル化(DX化)することで、効率的な施工が実現できる事例です。
設計段階から施工完了までをデータで一元管理する仕組みを構築し、生産性の向上と業務ミスの削減を達成が可能となります。
7. 足場機材の仕分けロボット導入
仕分け作業を自動化するロボットを導入し、作業員の負担を軽減するとともに作業の効率化を図った事例です。
足場業界における健康経営の推進や労働力不足の解消にも寄与しています。
8. 公共工事の受注を目指した新工法の導入
革新的な足場組立工法を採用し、効率性と信頼性を両立した事例です。
この工法は、公共工事の受注にも成功し、企業の新たな成長基盤となりうるでしょう。
足場事業では革新的な工法や先端的な機器の導入、新サービスの導入などが採択される傾向にあるといえるでしょう。
ものづくり補助金に採択されるためのポイント
それでは、ものづくり補助金に採択されるためにはどうすればよいのでしょうか。ここで重要になってくるのが、『事業計画の立案』です。
- 明確な目標設定…導入する設備や技術がどのように事業に貢献するかを具体的に示す
- 収益性の向上をアピール …補助金活用による売上増加やコスト削減のシミュレーションを提示
- 環境・社会貢献の意識 …エコやSDGsに配慮した取り組みを強調。
それでは、A技術面、B事業化面、C政策面、D費用対効果の4つの観点から、具体的な押さえておきたいポイントをご紹介していきます。
A. 技術面
- 革新性を明確に示す
採択される事業は、新技術や新サービスを活用して市場競争力を高める革新性が求められます。例えば、「VRを活用した設計・管理」や「次世代足場材の導入」など、他社との差別化が明確な計画が必要です。 - 課題解決方法の具体化
課題の解決方法が明確で、実現可能性が高いことが重要です。試作品やサービスモデル開発における具体的な課題を洗い出し、解決に向けたロードマップを提示することがポイントです。 - 技術的能力の備え
補助事業の遂行に必要な技術や能力を有しているかが評価されます。これには、既存のリソースだけでなく、外部の専門家との連携も含まれます。
B. 事業化面
- 実行可能な体制構築
社内外の体制が整っており、財務基盤や人材、事務処理能力が十分であることが求められます。金融機関からの支援が期待できる場合、より高い評価を受ける可能性があります。 - 市場ニーズの明確化
ターゲットとなる市場やユーザー像、想定される市場規模が明確である必要があります。クラウドファンディングなどで市場ニーズを検証している場合、評価が高まる傾向にあります。 - 収益性の確保
補助事業の成果が価格競争力を持ち、収益性が高いことが評価されます。また、事業化までのスケジュールが現実的であるかも重要です。
C. 政策面
- 地域経済への貢献
地域の特性を活かした事業で、高い付加価値を創出し、地域の経済成長に寄与することが求められます。特に、地域未来牽引企業や地域未来投資促進法に基づく計画を有している場合、加点対象となります。 - グローバル市場の視野
ニッチ分野での差別化やグローバル市場での競争力を持つ取り組みが評価されます。また、異業種連携や経営資源の有効活用を通じて課題解決に挑む事業も高く評価されます。 - デジタル技術の活用
先端的なデジタル技術や低炭素技術を活用した事業は、政策面での評価が高まります。特にウィズコロナ・ポストコロナ時代に対応した新しいビジネスモデル構築は重要な要素です。
D. 費用対効果
補助金の投入額に対して、実現が見込まれる売上や収益の規模が高いことが必要です。コストパフォーマンスが高い事業計画は、審査で有利になります。
まとめ&弊社のサポートについて
今回は、建築業界におけるものづくり補助金の活用方法と、採択されるためのポイントについてご紹介してきました。ここで、今回の要点をまとめておきます。
- 建築業界では例年多数のものづくり補助金の採択事例があり、新技術導入や効率化が評価されやすい「足場事業」も対象となる。
- 採択事例=足場の自動化やVR活用、次世代足場材導入などの取り組み
- 採択されるためには、技術革新性や課題解決の具体性、収益性の確保が重要なポイント。
- 地域経済への貢献やデジタル技術の活用も審査で高評価を得られる要素となる。
※ものづくり補助金 19次公募の実施が決まりました。公募日などの詳細は、決まり次第当ブログにてご紹介します。
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