ものづくり補助金の補助対象経費の中に専門家経費があります。
ものづくり補助金で取り組む事業に精通した専門家に対して支払う謝礼を補助対象とするといった性質のものです。
しかしながら、
- どこからどこまでが専門家に含まれるの?
- 税理士や公認会計士は専門家に含まれる?
- 補助対象経費の上限は?
- 見積りはどういったときに必要?
といったところは気になるところですよね。
そこで今回はものづくり補助金の補助経費である専門家経費について詳しく解説していきます。
専門家経費とは?要件を解説
専門家経費とは「事業再構築で取り組む事業を実施するために依頼した専門家に支払う経費」のことをいいます。
ものづくり補助金では補助対象経費総額(税抜き)の2分の1を上限として、専門家経費を補助対象とすることができます。
公募要領には、専門家経費として下記の通り記載されています。
本事業の実施のために依頼した専門家に支払われる経費
※1 専門家の技術指導や助言が必要である場合は、学識経験者、兼業・副業、フリーランス等の専門家に依頼したコンサルティング業務や旅費等の経費を補助対象とすることができます(※2の謝金単価に準じるか、依頼内容に応じた価格の妥当性を証明する複数の見積書を取得することが必要(ただし、1日5万円を上限))。
※2 専門家の謝金単価は、以下の通りとします(消費税抜き)。
・大学教授、弁護士、弁理士、公認会計士、医師:1日5万円以下
・大学准教授、技術士、中小企業診断士、ITコーディネータ:1日4万円以下
※3 旅費は、全国中小企業団体中央会が定める「旅費支給に関する基準」(別紙1)の通りとします。
※4 専門家経費支出対象者には、技術導入費、外注費を併せて支出することはできません。
※5 応募申請時に事業計画書の作成を支援した者は、専門家経費の補助対象外とします
ものづくり補助金に関わるに取り組む事業に限定されていますので、専門家経費に関係のない事業に関する謝礼は認めれません。
専門家の範囲は?税理士や公認会計士は対象?
専門家の範囲については明確に決められていません。
しかしながら、ものづくり補助金の公募要領では幅広い範囲で専門家経費が認められています。
公募要領の中に出てきた専門家は下記の通りです。
- 学識経験者
- 兼業・副業
- フリーランス
- 大学教授
- 弁護士
- 弁理士
- 公認会計士
- 医師
- 准教授
- 技術士
- 中小企業診断士
- ITコーディネータ
難関資格を保有する専門家はもちろんのこと、フリーランスや兼業・副業者まで認められています。
このことから業務に精通している人材であれば幅広い範囲で専門家として認められる可能性は高いと言えるでしょう。
税理士や公認会計士は補助対象だが、決算書・報告書などは補助対象外
税理士や公認会計士は専門家経費に含まれます。
しかしながら、決算書・税務申告・報告書の作成に対する謝礼は、補助対象外となります。
公募要領の中で「税務申告、決算書作成等のために税理士、公認会計士等に支払う費用」「報告書等の事務局に提出する書類作成・申請に係る費用」が補助対象外となる旨明記されているためです。
ですので、申請のためだけに税理士や公認会計士を利用した場合は補助対象経費には含まれませんので、注意してください。
補助対象経費の上限は4万円~5万円が目安
補助対象経費の上限は専門家によって異なります。
公募要領内の例では下記が上限とされています。
※2 専門家の謝金単価は以下の通りとします(消費税抜き)。
・大学教授、弁護士、弁理士、公認会計士、医師等:1日5万円以下
・准教授、技術士、中小企業診断士、ITコーディネータ等:1日4万円以下
難関資格を保有している専門家に関しては1日の上限が5万円、通常の専門家については1日4万円が上限となっています。
ただし、通常の専門家については複数の見積り書を提出することで、1日5万円まで引き上げることができます。
依頼内容に応じた価格の妥当性を証明する複数の見積書を取得することが必要(ただ
し、1日5万円が上限となります)
いずれにしても1日5万円が専門家経費の上限となっています。
専門家経費の旅費はどこまで含まれる?
専門家経費の範囲は「コンサルティング業務や旅費等の経費」となっています。
コンサルティング業務は分かりやすいですが、旅費等の経費についてはどこまで対象としてよいのか迷うところですよね。
専門家経費の旅費については「旅費支給に関する基準」に明記されています。
遠方や海外旅費を伴う場合は複雑になりますので、よく確認しておきましょう。
補助事業の旅費支給に関する基準
令和3年3月26日
専門家経費事務局
第1章 総 則
(目 的)
第1条 本基準は、令和二年度第三次補正中小企業等事業再構築促進補助金における助成事業の旅費支給について定めるものとする。
2 海外出張の旅費については、卒業枠及びグローバル V 字回復枠で採択された補助事業者のみ対象とする。
第2章 国内出張旅費計算の基準
(旅費の計算)
第2条 旅費は、最も経済的な通常の経路及び方法により出張した場合の旅費により計算する。
2 旅費計算の起点は、原則として出張者の勤務先の最寄駅とする。
3 片道の鉄道・航路の営業キロが600キロメートルを超える場合は、往復割引運賃により計算する。また、航空賃については往復割引運賃を上限として計算する。
4 同一区間内に複数の用務地がある場合の乗車運賃(特急・急行料金は除く。)については、最遠隔地から起点までの通し運賃により計算する。ただし、用務地が乗車券の有効日数を超える場合は、この限りでない。
5 第3項及び第4項以外にあっても、「運賃計算の特例」に該当するものは、当該特例運賃により計算する。
(出発時刻及び到着時刻の基準)
第3条 用務地と用務地最寄駅等の所要時間は、通常の経路で要する時間とする。
2 前項により計算した時間が、出発時刻が8時より以前、到着時刻が22時を超える場合は、出張の日数を加えることができる。
第3章 国内出張の旅費
(近距離地域の旅費)
第4条 東京都区内及び片道50キロメートル以内の出張については、鉄道賃、バス賃、モノレール賃並びに船賃を支給することができる。ただし、用務地が出張者の通勤手当支給経路にある場合は支給しない。
(近距離地域以外の旅費)
第5条 特急料金(新幹線を含む。)及び急行料金(以下「特急料金等」という。)を徴する列車等を運行している路線を利用する出張で、片道50キロメートルを超える区間で現に利用することが可能な場合は、第2条第1項本文の規定に即し、特急料金等を支給することができる。この場合、指定席車があるときは、座席指定料金も支給することができる。ただし、用務地が出張者の通勤手当支給経路にある場合は支給しない。
2 次の各号に定める都道府県への出張で、現に利用することが可能な場合は、原則として航空賃を支給する。
(1)東京起点の場合
北海道、東京都の島しょ、鳥取県、島根県、山口県、香川県、徳島県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
(2)名古屋起点の場合
北海道、青森県、秋田県、山形県、岩手県、宮城県、東京都の島しょ、新潟県、愛媛県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
(3)大阪起点の場合
北海道、青森県、秋田県、山形県、岩手県、宮城県、東京都の島しょ、新潟県、愛媛県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
(4)福岡起点の場合
北海道、青森県、秋田県、山形県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、長野県、山梨県、静岡県、富山県、石川県、福井県、徳島県、愛媛県、高知県、宮崎県、沖縄県
(5)その他
上記(1)~(4)以外で、事務局が認めた場合
3 バス賃、モノレール賃並びに船賃を支給することができる。ただし、用務地が出張者の通勤手当支給経路にある場合は支給しない。
4 第3条第2項の規定により出張の日数を加えた場合の宿泊料については、片道50キロメートルを超える出張の場合のみ適用するものとし、宿泊日数に応じて次表の額を限度として支給することができる。
区 分 宿泊料(日当含む)
専門家(宿泊を伴う場合は、日当は加算しない) 17,000円以内
5 日当は、片道50キロメートルを超える日帰り出張の場合のみ適用するものとし、次表の額を限度として支給することができる。
区 分 日 当
専門家 5,000円以内
6 航空賃又は鉄道賃と宿泊費がセットになっているパッケージ商品を利用して出張する場合は、当該パッケージ料金を支給する。
第 4 章 海外出張の旅費
(海外出張の旅費)
第 6 条 海外旅費については、必要最小限度の金額について、補助対象とすることができる。
2 航空賃、鉄道賃及び船賃は、エコノミークラス(普通クラス)による実費額とすることができる。
3 車賃(バス賃及びモノレール賃)は、鉄道を除く陸路旅行について、実費額で支給する。
4 宿泊費は、1 泊25,000円を限度とする。
5 日当は、第5条第5項の規定を適用するものとする。
6 航空賃又は鉄道賃と宿泊費がセットになっているパッケージ商品を利用して出張する場合は、第 5 条第 6 項の規定を適用するものとする。
第 5 章 雑 則
(参考資料)
第 7 条 旅費の計算に当たっては、「JR等の時刻表」又は「旅費計算ソフトウェア」等を参考資料とすること。
(その他)
第 8 条 補助事業者において旅費規程が整備されており、上記第2条から第6条の規定と概ね同等の規定となっている場合は、事務局と協議のうえ、補助事業者の旅費規程により算定することができる。ただし、上限は本規定の額とする。附則 本内規(抜粋)に記載されている金額は全て消費税等を含む。
まとめ
今回はものづくり補助金の補助対象である専門家経費の範囲や補助対象経費の上限について解説してきました。
ポイントは下記の通りです。
- 専門家の範囲は具体的に明記されていない。幅広い範囲で認められる可能性
- 補助対象経費総額(税抜き)の2分の1を上限
- 専門家経費の範囲はコンサルティング費用、旅費等
- 補助対象経費の上限は1日5万円。見積書が必要なケースも
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