「ものづくり補助金」第23次の公募要領が2月6日に発表され、申請を検討し始めた事業者の方も多いのではないでしょうか。
申請枠や補助上限額を見ると、第22次と大きく変わっていないように見えるため、「前回と同じ感覚で準備すればよさそう」と感じるかもしれません。しかし実際には、賃上げ要件や加点の考え方を中心に、申請の通りやすさに直結するポイントが整理・厳格化されています。
本記事では、第23次公募にチャレンジするにあたって、第22次から何がどう変わったのか、実務上影響の大きい点に絞って解説します。

監修: 駒田 裕次郎(こまだ ゆうじろう)
駒田会計事務所 【コマサポ】代表
【来歴】大手監査法人の経験を活かし、創業支援・補助金支援を中心とする「駒田会計事務所」を東京・渋谷に設立。資金調達や事業計画の作成、税務や経営相談まで顧客に寄り添うきめ細やかなサポートを提供。
【実績】創業融資・補助金の支援実績は、累計3,000件以上(2025年1月末現在)
【所有資格】公認会計士・税理士・認定支援機関
「一人ひとりの起業家の成功を願い、日本の未来を明るくする」をモットーに、日々奔走。
コマサポでは、採択実績に基づいた計画書作成や、最新制度への対応ポイントなど、実務に強い申請支援をご提供しています。
ものづくり補助金の初回相談は無料です。申請を検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
第23次ものづくり補助金|第22次からの主な変更点まとめ
全体像(申請枠・上限額・補助率)
第23次ものづくり補助金では、申請枠の構成(製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠など)について、第22次から大きな変更はありません。補助上限額・補助率も同様で、「大幅賃上げ特例」による上限額上乗せの仕組みも引き続き継続されています。
また、第22次公募後の公募要領修正により、補助事業の実施期間については、
✅高付加価値化枠は交付決定から10か月以内、
✅グローバル枠は交付決定から12か月以内
と整理されました。第23次では、この運用が前提となっています。
このように、第23次ものづくり補助金は、制度の枠組み自体は維持しつつ、要件を引き締めた回と整理できます。申請枠の種類や補助上限額・補助率といった「制度の骨格」は、第22次から大きく変わっていません。
一方で、
「どのような事業計画を評価するのか」
「どの事業者に補助金を交付するのか」
といった評価の中身については、賃上げ要件や加点項目を中心に明確な整理が行われています。
第22次をベースに検討する場合は、制度の“箱”は同じでも、“評価の中身”が変わっていると捉えておくと、全体像を理解しやすいでしょう。
①【最重要】基本要件(賃金引上げ要件)の変更
第22次までのものづくり補助金では、賃金引上げに関する基本要件として、
🟦給与支給総額の増加
🟦事業所内最低賃金の引上げ
など、複数の指標から自社の状況に合ったものを選択して賃上げ要件を満たすことができました。
一方、第23次ではこの点が大きく変更され、⚠️「一人あたり給与支給総額の年間平均成長率3.5%以上」という要件に一本化されています。
| 第22次公募(前回) | 第23次公募(今回) | |
以下のいずれかの目標を達成すること
| ➡ | 以下の目標を達成すること(必須)
|
これにより、雇用者数を増やすことで給与支給総額を伸ばすといった対応は認められなくなり、従業員一人ひとりの賃金水準を着実に引き上げていくことが、これまで以上に強く求められています。どの指標で賃上げを説明するかを選ぶ余地はなくなり、「一人あたり給与」を軸に、計画段階から数値根拠を示し、その実行可能性を説明することが前提となりました。
なお、この賃上げ要件を達成できなかった場合には、未達成率に応じて補助金の返還が求められる仕組みは、第23次でも引き続き維持されています。そのため、第23次では、賃上げ計画を「書けるかどうか」ではなく、実行段階まで含めて本当に達成できる水準かどうかを、これまで以上に慎重に検討する必要があります。
②大幅賃上げ特例も『従業員1人当たり』の総額に
補助上限額を引き上げる大幅賃上げ特例についても、第23次で要件の整理が行われています。
第22次では、賃上げ特例の判定指標として、給与支給総額の年平均成長率が用いられていました。
一方、第23次ではこの考え方が見直され、「従業員一人あたりの給与支給総額を、年平均6.0%以上増加させること」が特例適用の条件となっています。このように、第23次では、基本要件と同様に「一人あたり給与」を軸とした考え方に統一されました。
なお、大幅賃上げ特例を満たした場合に、従業員規模などに応じて補助上限額が100万円~最大1,000万円上乗せされる仕組み自体は継続しています。
(※賃上げ特例について詳しくお知りになりたい方は、後の章でご紹介しています。)
ただし、第23次では、「上限額を引き上げたいから、とりあえず特例も付けておく」といった申請は、通りにくくなっている点に注意が必要です。事業計画、資金繰り計画、人件費の見通しまで含めて、💡なぜ6.0%以上の賃上げが可能なのか、その水準を事業期間中に維持できるのかを、無理のない形で説明できるかどうかが重要になります。
③加点項目「賃上げ加点」が整理
~残った賃上げ関連の加点は「最低賃金対応」に限定
第23次ものづくり補助金では、賃上げ関連の加点が整理され、第22次から追加された「最低賃金対応」に関する加点のみが継続されています。
現在、賃上げに関する主な加点は次の2つです。
💰地域別最低賃金引上げに係る加点
最低賃金改定の影響を受ける従業員が多い事業者を評価する加点です。
一定期間において、地域別最低賃金以上かつ改定後最低賃金未満で雇用されている従業員が、全従業員の30%以上となる月が3か月以上ある場合に対象となります。
💰事業所内最低賃金引上げに係る加点
応募申請直近月の事業所内最低賃金が、2025年7月時点と比べて全国目安(63円)以上引き上げられているかを評価する加点です。
第23次では、最低賃金対応という政策的テーマに沿った加点のみが残された形になっています。そのため、これらの加点は、「加点を取りにいくために無理をする」ものではなく、自社の人員構成や賃金水準の結果として、該当すれば活用するという位置づけで考えるのが現実的です。
あくまで審査の前提となるのは、基本要件(賃上げ要件)を確実に満たせる事業計画かどうかであり、加点はそれを補う要素と捉えておく必要があります。
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『ものづくり補助金とは?』
中小企業や小規模事業者が、新製品・サービスの開発や生産プロセスの改善を行う際に必要な設備投資を支援する補助金です。生産性向上や競争力強化を目的とし、革新的な取り組みを後押しします。
ものづくり補助金概要(2026年 第23次)
| 支援内容 | |
|---|---|
| 補助対象 | ①<製品・サービス高付加価値化枠>革新的な新製品・新サービスの開発による高付価値化 ②<グローバル枠> 海外事業の実施による国内の生産性向上 |
| 対象業種 | – 製造業 – 建設業 – 情報通信業 – サービス業 など広範囲 |
| 補助対象経費 | <共通>機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費 <グローバル枠のみ>海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費 |
| 補助上限額 | 最大 4,000万円 ※大幅賃上げ特例あり。詳細は次の章にて。 |
| 補助額 | 中小企業:1/2、小規模事業者:2/3、再生事業者(①枠のみ):2/3 ※最低賃金引上げ特例あり。詳細は次の章にて。 |
| 公募回数 | 年4回程度(予定) |
| 基本要件 | ||
![]() 基本要件に関する注意事項注意事項1 目標値の設定 •基本要件①②③について、申請者自身で設定した目標値を達成する必要があります。 ![]() 注意事項2 目標値の表明 申請者自身で設定した目標値のうち、②・③については、全ての従業員及び従業員代表者に表明する必要があります。 |
| グローバル枠に追加の基本要件 | ||
![]() |
主な補助対象経費
ものづくり補助金で補助対象となる経費は以下の通りです。必須項目もありますので、ご注意ください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 必須経費 | – 機械装置費 – システム構築費 |
| 補助対象経費 | – 技術導入費 – 専門家経費 – 運搬費 – クラウドサービス利用費 – 原材料費 – 外注費 – 知的財産権等関連経費 |
| グローバル枠限定経費 | – 海外旅費 – 通訳・翻訳費 – 広告宣伝費 |
生産性向上のための設備投資やシステム構築が補助の中心ですが、グローバル枠では海外市場展開に関連する費用もカバーされます。
補助金額の詳細
<製品・サービス交付価値化枠>
| 補助額 | ||
|---|---|---|
| 従業員数 | 補助金額 | 大幅賃上げ特例(※1)適応時 |
| 5人以下 | 750万円 | +補助上限額を100~1,000万円上乗せ |
| 6~20人 | 1,000万円 | |
| 21~50人 | 1,500万円 | |
| 51人以上 | 2,500万円 | |
| 補助率 | ||
| 中小企業1/2、小規模・再生2/3 ※最低賃金引上げ特例適用(※2)の場合は、中小企業も2/3 | ||
<グローバル枠>
| 補助額 | |
|---|---|
| 補助金額 | 大幅賃上げ特例(※1)適応時 |
| 3,000万円 | 3,100万円~4,000万円 |
| 補助率 | |
| 中小企業1/2、小規模2/3 | |
※1【大幅賃上げ特例】
①1人あたりの給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上増加、②事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水準の両方を満たしている場合、補助上限額が100~1,000万円上乗せされます。ただし、最低賃金引上げ特例事業者、各申請枠の上限額に達していない場合は除外です。また①、②のいずれか一方でも未達の場合、補助金返還義務があります。
■基本要件との違い
| 要件 | 基本要件 | 大幅な賃上げに取り組む事業者 |
|---|---|---|
| ① 付加価値額 | 年平均成長率3%以上 | 同左 |
| ② ひとり当たり給与支給総額 | 年平均成長率3.5%以上増加 | 年平均成長率6%以上増加 |
| ③ 最低賃金 | 地域別最低賃金+30円以上の水準とする | 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上の水準とする |
| ④ 補助金返還の要件 | ・事業計画終了時点において上記②が未達の場合、補助金の一部(目標値-実績値)を返還 ・事業計画期間中の毎年3月末時点において上記③が未達の場合、未達成年度の補助金を返還 | ②③のいずれか一方でも達成できなかった場合、各補助対象事業枠の補助上限額との差額(補助上限額引上げ額)に加え、補助金交付額から補助上限引上げ額を差し引いた額に未達成率を乗じた額の返還を求めます。 |
→補助金の返還要件については、公募概要20Pをご参照ください。
大幅な賃上げを目指す事業者は、給与支給総額を年率平均3.5%増加に加え、追加で2.5%の増加、合わせて6%以上の増加をする必要があります。
事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上の水準を満たすことが必要です。
※2【最低賃金引上げ特例】
中小企業向けの補助率は基本的に1/2ですが、2024年10月から2025年9月までの間で”当該期間の事業実施都道府県における最低賃金以上~2025年度改定の事業実施都道府県における最低賃金未満”で雇用している従業員が全従業員数の30%以上の場合、最低賃金引き上げ特例により補助率が2/3に引き上げられます。しかし、基本要件のうちいずれかの要件を達成できない場合、補助金の返還義務があります。また、小規模事業者や再生事業者の補助率は2/3です。
(中小企業庁 令和6年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の概要)
2026年(23次公募)ものづくり補助金の流れ
2026年度のものづくり補助金(第23次公募)については以下の様な流れになっています。

| 項目 | 時期 |
|---|---|
| 公募開始 | 公募開始 :2026年2月6日(金) 電子申請受付:2026年4月3日(金)17:00~ 申請締切 :2026年5月8日(金)17:00 採択結果発表:2026年8月上旬頃予定 |
| 交付決定・事業開始 | 交付決定・事業開始:2026年10月頃~(想定) |
| 実績報告・補助金交付 | 事業完了期限:2027年8月頃(想定) 補助金交付 :2027年9月頃(想定) |
「第23次ものづくり補助金」申請時の注意点
第23次ものづくり補助金を申請する際には、いくつかの重要な注意点があります。これらを確認し、計画を慎重に立てることが、申請成功への鍵となります。
1.新製品・新サービス開発が必須
第23次公募では、申請の際に「生産プロセスの改善」だけでは不十分です。必ず新製品や新サービスの開発を含む事業計画が求められる見込みです。これにより、単なる生産性向上ではなく、革新的な製品やサービスの導入が重視されます。
2.基本要件未達成のリスク
給与支給額、最低賃金、付加価値額など、基本要件を達成できなかった場合、補助金の返還が求められる可能性があります。申請前にこれらの要件を満たしているか確認し、計画的に進めることが重要です。
3. 事業計画の精度
事業計画の策定は非常に重要です。採択後に要件を達成できないリスクを避けるためには、現実的で達成可能な計画を立てる必要があります。計画の内容が不確定であると、後の段階で問題が生じやすくなります。
4.必要経費の確認
補助対象となる経費や必須経費をしっかり把握し、事業計画に含めることが必要です。これをクリアにしておかないと、後々補助金の対象外となる可能性があります。
5.交付申請後のスケジュール管理
採択後は、進捗状況の報告や補助金の交付申請などが必要です。スケジュールを適切に管理し、期限内に必要な手続きを完了させることが求められます。
まとめ
賃上げの基本要件は
👉 「一人あたり給与3.5%成長」の一択になった賃上げ加点は整理され、
👉 最低賃金引上げ関連の加点が評価の中心補助枠・上限・補助率は第22次と近いため、
👉 22次の計画をベースにする場合でも、賃金計画と加点設計は必ず再整理が必要
第23次は制度全体が大きく変わったわけではありませんが、
賃上げ要件の考え方が整理された分、計画の甘さが出やすい回とも言えます。
第23次ものづくり補助金は、申請枠や補助上限額といった制度の骨格自体は、第22次から大きく変わっていません。
一方で、賃上げ要件の一本化や加点項目の整理により、「どのような事業計画が評価されるのか」という中身は明確に変化しています。
その結果、数値だけを当てはめた計画や、加点頼みの申請は通りにくくなっており、賃金計画・人件費の考え方・事業計画との整合性を含めて、第23次の要件に合わせて一度立ち止まって整理し直すことが重要です。
「制度自体は同じに見えるが、評価の基準は変わっている」
──この点を押さえたうえで準備を進めることが、第23次公募を検討するうえでの大きなポイントと言えるでしょう。
採択を目指すためには、制度変更を正確に理解したうえで、自社の強みを活かした具体的かつ実現可能な事業計画を作成することが欠かせません。
提出書類の不備や計画の矛盾を防ぐためにも、余裕をもって準備を進めることが重要です。
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