ものづくり補助金

「ものづくり補助金でロボット導入を成功させるには?採択理由と事例を紹介

「ものづくり補助金でロボット導入を成功させるには?採択理由と事例を紹介

中小企業の生産性向上や新たな事業展開を後押しするため設けられた「ものづくり補助金」。幅広い経費が補助対象となる中でも、特にロボット導入を伴うプロジェクトは採択されやすい分野として注目されています。

本記事では、なぜロボット関連の事業が採択されやすいのか、その背景や理由を探るとともに、具体的な採択事例について解説していきます。

今回の記事の流れ

1.ものづくり補助金とは

2.ロボット関連事業の採択が多い理由とは?

3.ロボット関連でのものづくり補助金採択事例

4.ものづくり補助金以外にも検討すべき補助金

5.まとめ

1.ものづくり補助金とは

中小企業や小規模事業者が、新製品・サービスの開発や生産プロセスの改善を行う際に必要な設備投資を支援する補助金です。生産性向上や競争力強化を目的とし、革新的な取り組みを後押しします。※正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」

※12/17の補正予算案成立により、2025年の実施も正式に決定しました。

2025年度第19次ものづくり補助金の簡単な概要は下記の通りです。

項目要件
概要①<製品・サービス高付加価値化枠>革新的な新製品・新サービスの開発による高付価値化
②<グローバル枠> 海外事業の実施による国内の生産性向上
補助金額■製品・サービス高付加価値化枠

5人以下750万円(850万円)
6~20人1,000万円(1,250万円)
21~50人1,500万円(2,500万円)
51人以上2,500万円(3,500万円)

■グローバル枠

3,000万円(3,100万円~4,000万円)

※大幅賃上げ特例(補助上限額を100~1,000万円上乗せ。上記カッコ内の金額は特例適用後の上限額。最低賃金引上げ特例事業者、各申請枠の上限額に達していない場合は除く。下記①、②のいずれか一方でも未達の場合、補助金返還義務あり。)
①給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上増加、②事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水

補助率中小企業:1/2、小規模事業者:2/3、再生事業者(①枠のみ):2/3       ※最低賃金引上げ特例あり。
その他収益納付は求めない
補助対象経費【共通】機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費
【グローバル枠のみ】海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費
基本要件①付加価値額の年平均成長率が+3.0%以上増加
② 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上
又は給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加
③事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準
④次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ)
※最低賃金引上げ特例適用事業者の場合、基本要件は①、②、④のみとする。※3~5年の事業計画に基づき事業を実施、毎年、事業化状況報告を提出すること(事業成果確認のため)
※基本要件等が未達の場合、補助金返還義務がある

中小企業庁 令和6年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の概要

 

2.ロボット関連事業の採択が多い理由とは?

ロボット関連のプロジェクトがものづくり補助金で採択されやすい背景には、以下の3つの理由があります。それぞれのポイントをわかりやすく解説します。

省人化・省力化への政府の重点支援

少子高齢化や労働力不足は日本社会が直面している深刻な課題です。以下のデータが示すように、労働力不足への対応は喫緊の課題となっています。

高齢化の進展:2025年には65歳以上の高齢者が総人口の約30%に達すると予測。2030年には生産年齢人口(15歳~64歳)が2019年比で約10%減少と見込まれる

こうした背景を受け、政府は省人化・省力化を目的とした技術革新や設備投資を積極的に支援しています。ロボット導入は労働力不足を補うだけでなく、労働生産性を向上させる直接的な解決策であり、補助金の重点支援分野に位置付けられています。

生産性向上と競争力強化

ロボットの導入によって、

  • 生産ラインの自動化と効率化:繰り返し作業をロボットが担うことで生産効率が飛躍的に向上。
  • 品質の均一化:人的ミスを削減し、製品品質を安定化。
  • コスト削減:初期投資後のランニングコストが低減し、長期的に企業のコスト構造を改善。

などの効果が期待できます。企業の競争力を強化するため、補助金の目的に合致するため補助金の審査において高い評価を受けています。

具体的で成果が見えやすい

ロボット関連プロジェクトのもう一つの強みは、導入後の成果が数値化しやすい点です。

具体的な成果例:「生産性が○%向上」「人件費を○円削減」

このように明確な数値で効果を示すことができる提案は、審査員にとって説得力があり、採択率を高める要因となります。

3.ロボット関連でのものづくり補助金採択事例

では、具体的にどのような事業で採択されているのでしょうか。第18次ものづくり補助金の採択事例からをご紹介していきます。

「ものづくり補助金の第18次 採択事例一覧)より

分野別にみると、製造業の採択事例が多くみられますが、情報関連やサービス業など他の業種でも多数の採択された実績があります。

1. 製造業

  • ファイバーレーザロボットの導入
    多機能三次元高精度切断技術により品質向上と生産性を強化。高度な加工技術を必要とする業界で採用され、競争力向上に寄与。
  • IoT化による特殊研磨のロボット化
    IoT技術を活用した特殊研磨の自動化により、生産性が向上。さらに、フランチャイズ展開(FC化)も実現。
  • ロボット溶接工程の導入
    自動車用マフラー製造での高付加価値生産を実現する溶接ロボットの導入。生産効率と品質を飛躍的に向上。
  • ロボット一体型NC旋盤の導入
    高品質なダイカスト部品を量産するために導入。短納期対応と生産効率向上を達成。
  • 溶接ロボットによる鉄骨生産の効率化
    鉄骨溶接工程での生産性向上を目的としたロボット導入。職人減少による危機を克服する取り組み。
  • 金属塗装用静電塗装ロボットの導入
    新しい塗装プロセスを確立することで、生産効率の向上と製品品質の安定化を実現。

2. 情報通信・ハイテク業界

  • 最新型のパソコン部品組付自動化ロボット装置導入
    DX対応とコロナ禍での増産に応じるための装置導入。自動化と高精度な組立で売上拡大を達成。
  • 需要予測AI搭載カフェロボットの開発
    AIによる需要予測を活用し、無人カフェ事業を展開。効率的な運営と廃棄ロス削減を実現。
  • 国産初の自動4足歩行ロボットの開発
    革新的アクチュエータを搭載した4足歩行ロボットの開発。物流や建設など多分野での活用が期待される。
  • ティーチング不要なアルミホイール用ロボットバリ取り装置の開発
    自動化技術を活用し、バリ取り工程を効率化。生産性向上に寄与。

3. 医療・化粧品業界

  • 医療・化粧品用樹脂部材向けロボット検査システムの導入
    射出成形機と連動したロボット検査システムを導入。不良率削減と高品質な製品提供を実現。
  • 農工業から医療介護業への転換
    接触機会を低減する自走式搬送ロボットを開発。医療施設や介護現場での需要に対応。
  • ロボット用固定治具の開発
    ワイヤー加工の効率化により、医療用部品製造での特需に対応。生産性と受注量を大幅に向上。

4. サービス業・観光業

  • ドローン・ロボット・VRを活用した非対面型保守サービスの提供
    安全性向上と業務効率化を目的とした非対面型サービスを提供。新たな市場ニーズに対応。
  • 床自動走行式清掃ロボットの導入
    商業施設やホテルの清掃業務を自動化。人件費削減と清掃効率向上を実現。

5. 農業・食品加工業

  • パレタイジングロボットによる精米工程の完全自動化
    精米工程を完全自動化し、生産性を向上。人件費削減とコスト効率の改善を達成。
  • 植物工場自動ロボットシステムの開発
    IoT技術を転用し、植物工場での作業を自動化。安定供給とコスト削減に貢献。

6. 建設・インフラ業界

  • 鉄骨溶接ロボットの導入
    大型鉄骨の製作工程をロボット化。高品質製品の安定供給と生産効率向上を実現。
  • 溶接ロボットシステムによるガスホルダ側板の量産体制構築
    安定した生産体制を確立し、インフラ分野での需要増に対応。
  • 新型鉄骨溶接ロボットの導入
    生産性向上と販路拡大を目指し、溶接ロボットを導入。効率化によりコスト削減も実現。

4.ものづくり補助金以外にも検討すべき補助金

事業にロボットの導入を考える際、「ものづくり補助金」以外の補助金制度を活用することもできます。代表的な例が省力化投資補助金です。
この補助金は、名前の通り、省人化や省力化を目的とした設備投資を支援するもので、ロボット導入プロジェクトも多く採択されています。

参考:中小企業省力化投資補助金サイト

省力化投資補助金とものづくり補助金の違いについては、こちらの記事でも解説しています。

省力化・省人化補助金とものづくり補助金の違いを解説2024年の特に注目度が大きい補助金は「省力化・省人化補助金」と「ものづくり補助金」です。 中小企業の課題として労働力不足の問題が挙げ...

5.まとめ

今回は、ロボット関連の事業がものづくり補助金に採択されやすい背景や理由を具体的事例で紹介してきました。

今回の記事のポイント
  1. ロボット関連プロジェクトは、省人化や省力化が政府の重点支援分野であり、採択されやすい。
  2. 生産性向上やコスト削減など、具体的で数値化しやすい成果が評価されやすい。
  3. 補助金の目的である競争力強化に直結し、品質向上や効率化が期待できる。
  4. 製造業や医療・サービス業など、幅広い業種で採択事例がある。
  5. ものづくり補助金以外にも、省力化投資補助金などを併用することで、さらに支援を受けられる可能性がある。

今後、少子高齢化や労働力不足がさらに進行する中で、ロボットを活用した技術革新は、社会的な課題解決と企業の競争力向上の両立に向けた重要な取り組みとして、ますます注目されるでしょう。ものづくり補助金を活用してこれらの分野で一歩先を行く技術開発や効率化を図ることは、企業成長の大きな足掛かりとなることでしょう。

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