中小企業の約45%が、事業の規模拡大や成長を目指しているとのデータがあります。その多くが既存の市場や事業を基盤とし、新たな分野に挑戦しています。しかし、資金調達が難しく、挑戦をためらう企業も少なくありません。
こうした中で、「ものづくり補助金」を新規事業に活用できれば、資金不足の課題を解決し、新たな成長の可能性が大きく広がります。
本記事では、ものづくり補助金が新規事業にどう活用できるのか、具体的な事例を交えて詳しく解説します。
今回の記事の要旨
冒頭ではありますが、今回の記事の要旨は次の通りです。
- ものづくり補助金は、既存事業の生産性向上のみでなく、新規事業にも利用できる。
- 新規性や革新性のある製品・サービス開発に利用可能。
- 製品・サービス高付加価値化枠の成長分野進出類型では、DXやGXなど成長市場向けの取り組みを支援。
- グローバル枠においても、インバウンドに対応する事業や、新商品の開発などに利用可能。
ものづくり補助金は新規事業にも利用できます
あらためてご説明させていたただくと、『ものづくり補助金』とは、中小企業等が新製品・サービスの開発や生産プロセス等の省力化に必要な整備投資等をする支援を目的とした、国からの補助金です。
補助事業の目的
「中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的な製品・サービスの開発、生産プロセス等の省力化を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援します。
そして、ものづくり補助金には、以下の3つの枠が設定されています。
①省力化(オーダーメイド)枠 人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等を支援 ※省力化(オーダーメイド枠)についてはこちらで詳しく解説しています。 https://hojo.mono-support.com/monodukuri/monodukuri-ordermade/ |
②製品・サービス高付加価値化枠[通常類型・成長分野進出類型(DX・GX)] 通常類型=革新的な製品・サービス開発の取組みに必要な設備・システム投資等を支援 成長分野進出類型(DX・GX)=今後成長が見込まれる分野(DX・GX)に資する革新的な製品・サービス開発※の取組みに必要な設備・システム投資等を支援 |
③グローバル枠 海外事業を実施し、国内の生産性を高める取組みに必要な設備・システム投資等を支援。 |
第16次(2023年)までの募集要項では、生産性の向上を目的とした事業に重点が置かれていたため、「ものづくり補助金は既存事業の生産性向上のみを目的とした補助金である」と捉えられる方も少なくありませんでした。
しかし、実際には第18次要綱に明記されている通り、ものづくり補助金の目的の一つには「新製品・新サービスの創出」が含まれています。この目的に合致する取り組みであれば、既存事業に限定されることなく、新規事業の立ち上げや新市場への参入も補助対象となります。
ただ、注意が必要な点として、以下の3点があげられていますので、ご留意ください。
また、18次から新設されたグローバル枠には、以下のように規定されています。
- 海外事業とは、①海外への直接投資に関する事業、②海外市場開拓(輸出)に関する事業、③インバウンド対応に関する事業、④海外企業との共同で行う事業をいいます。
- グローバル枠において、新商品・サービスの開発改良、ブランディングや、新規販路開拓等の取組みを目的とする事業であり、事前にマーケティング調査(実現可能性調査)を実施し、その結果に基づく開発改良、ブランディング等を行うことが基本要件となります。
ここでも、インバウンド事業や新商品の開発も補助対象とすることが明記されています。
過去の採択例として、東北の呉服販売店がオリジナルブランドを立ち上げ、長襦袢をモチーフにした国産シルク製のリラックスウェアを開発した事業があります。特に、インバウンド需要に対応した点が評価された一例といえるでしょう。
新規事業におけるものづくり補助金の活用例
では、他にも、実際にどのような新規事業が採択されているのか、第18次採択事例をいくつかご紹介します。
新規事業として、災害時に迅速に対応できる「マルチ発電車」の試作に着手。地方のインフラを守る画期的な製品として、災害対策市場をターゲットにしたプロジェクト。補助金を活用して最新の発電技術を取り入れ、移動可能な発電設備を試作。災害時の電力供給を確保し、新たな収益源を開拓した。
廃棄物のリサイクル技術を活用した新規事業として、コンクリート産廃スラッジを再資源化し、環境負荷を低減するリサイクルコンクリートの製造・販売を開始。循環型社会の実現に貢献しながら、新しい市場を創出した。
補助金を利用して専用設備を導入し、リサイクル技術の確立を図り、環境ビジネス分野での競争力を高める結果をもたらした。
新たな外食市場の需要に応えるため、地元食材を使用した高品質冷凍仕出し料理のフランチャイズ化を計画。
補助金を活用して冷凍技術や包装ラインの導入を実現し、全国展開を目指した。
飲食店の新しいビジネスモデルを提供し、地域の農業や食品産業とも連携して新たな価値を生み出すことに成功。
水産業の活性化を目指し、ホタテ貝柱を使った新しい加工食品を開発。補助金を使い、最新の加工設備やパッケージデザインを導入し、高付加価値の商品を市場投入。
これにより、新たなターゲット層への販路を拡大し、地域特産品のブランド力を向上させた。
観光業界のDXを推進するため、VR技術を活用してバーチャル観光サービスを開発。これにより、現地に訪れることが難しい消費者に向けて観光地の魅力をオンラインで体験できるプラットフォームを提供。
補助金を活用してシステム開発費用を賄い、新規事業としてデジタルツーリズムの分野を切り開いた。
新規事業は、新事業進出補助金も検討を
ものづくり補助金は新規事業にも使えますが、新製品・新サービスの創出に関連した事業のみに適用されます。
既存にある事業での新規事業の場合は、2025年から公募予定の新事業進出補助金も一つの選択肢として検討されるのもよいでしょう。
新事業進出補助金=中小企業の新事業創出と構造転換への投資を重点的に支援するポスト事業再構築補助金といわれている補助金
新事業進出補助金については下記の記事をご参考ください。
https://mono-support.com/shinshijo/entering-new-markets/
まとめ
以上、「ものづくり補助金」を新規事業に活用する際の注意事項や、実際の採択例についてご紹介しました。
本記事が、皆様のさらなる飛躍のお役に立てれば幸いです。
※ものづくり補助金 19次公募の実施が決まりました。公募日などの詳細は、決まり次第当ブログにてご紹介します。
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