アプリ開発を進める上で、サービスの向上や業務の効率化、さらには新しいビジネスモデルの構築に必要な投資が発生することはよくあります。
そのような場面で役立つのが「ものづくり補助金」です。
ものづくり補助金は、その名の通り「ものづくり」に関する企業をメインに支援する制度ですが、アプリ開発のようなIT関連事業も対象になります。
実際、アプリ開発でもものづくり補助金で、過去多数の採択事例があります。
そこで今回は、ものづくり補助金をアプリ開発に活用する際のポイントを、実際の採択事例を基に解説します。
アプリ開発もものづくり補助金の補助対象
「ものづくり補助金」は名前から製造業に限定された制度のように感じられますが、実はIT関連事業やサービス業も対象です。
アプリ開発においても、補助金の趣旨に合致したプロジェクトであれば採択される可能性があります。
対象となる取り組み
アプリ開発を進める上で、以下の点を意識することが重要です。
- 機能の開発や改良を伴う事業:単なるアプリの公開ではなく、新規性や改良要素が求められます。
- 業務効率化やサービスの質を向上させる取り組み:アプリを通じて顧客体験や業務プロセスを改善することが重要です。
例えば、予約管理アプリの開発やAIを活用した診断機能付きアプリの構築など、業務効率化や新たな顧客価値創出に繋がる取り組みが対象となります。
補助対象となる主な経費
ものづくり補助金の対象となる主な補助経費は下記の通り。
1. 機械装置・システム構築費
- 専用ソフトウェアや情報システムの構築費
アプリ開発に必要なプラットフォームや専用のソフトウェア、クラウドベースのシステム構築費用が対象です。たとえば、アプリのバックエンドサーバーやAPIの開発費用など。 - 開発に必要な電子計算機(ハイパフォーマンスPC)
高度なアプリケーション開発に必要なパソコンやサーバー機器の購入費が含まれます。単価50万円以上のものが対象です。 - 関連設備の購入・設置費
アプリ開発のための特定の設備(例:テスト用のデバイス、センサー機器など)の導入費用。
2. クラウドサービス利用費
- サーバー領域のレンタル費用
アプリ運営のためのクラウドサーバー利用費が対象。Amazon Web Services (AWS) やGoogle Cloud Platform (GCP)の利用料が含まれます。 - 開発プラットフォーム利用料
アプリケーション開発に必要なサービス(例:FirebaseやAzure DevOps)の利用料。 - プロバイダ契約料やルータ使用料
補助事業に直接必要な通信インフラの費用。
3. 外注費
- アプリ開発の委託費用
プログラミング、UI/UXデザイン、テスト運用など、一部または全体を外注する場合の経費が対象。外注契約書の提出が必要です。 - セキュリティ診断費用
アプリのセキュリティテスト(脆弱性診断やペネトレーションテスト)を外部業者に依頼する費用。
採択されやすいキーワード
ものづくり補助金は申請内容の工夫次第で採択される可能性が大きく変わります。以下のようなキーワードを取り入れることで、採択されやすくなります。
1. 効率化
アプリを用いて業務の無駄を削減し、より効率的なプロセスを構築する取り組みが採択されやすいです。例えば、非対面予約や決済を実現するアプリ開発が該当します。
2. 生産性向上
アプリによって業務プロセスを最適化し、限られたリソースで最大限の成果を生む取り組みが評価されます。例として、AIを活用して顧客データを管理し、パーソナライズされたサービスを提供するアプリが挙げられます。
3. 新しいサービスの創出
従来にない機能を持つアプリを開発し、新しい市場を開拓する取り組みも高く評価されます。これには、AI婚活アプリやストレス解消アプリのような革新的なサービスが含まれます。
採択されたアプリ開発の事例
事例1: 非対面型予約・決済アプリ
ある企業では、事前決済機能と予約管理機能を統合した非対面型アプリを開発しました。このアプリにより、業務の効率化と顧客満足度の向上が実現しました。このようなプロジェクトは「効率化」や「生産性向上」の観点から補助金の趣旨に合致します。
事例2: AIを活用した診断機能付きアプリ
AI技術を搭載したアプリを開発し、ユーザーが自分のニーズに合った商品やサービスを簡単に選べる仕組みを構築した事例です。これにより、顧客体験を向上させるだけでなく、運営業務の効率化にも寄与しました。
事例3: 新しい市場を狙ったイベントマッチングアプリ
特定のイベントに特化したマッチングアプリを開発した企業が、ものづくり補助金を活用しました。この取り組みにより、新しい顧客層を獲得し、既存の事業と差別化を図りました。
事例4: サブスクリプション対応ECアプリ
定期購入機能を搭載したECアプリを開発し、安定した収益モデルを構築した事例です。サブスクリプション型の仕組みをアプリに組み込むことで、顧客満足度の向上と収益基盤の強化を実現しました。
その他の採択事例
その他アプリ開発での採択事例は下記の通り。(第18次 採択結果より)
事業計画名 |
非対面で事前決済と事前取り置きが可能なアプリ開発によるベーカリーの経営支援事業 |
何処でもそろばん学習可能なそろばん学習用アプリの独自開発 |
AIを活用したオンラインランニングコーチングアプリケーションの開発 |
歯周病アプリを活用した歯周病患者の早期発見・早期治療の実現と重度歯周病患者へのインプラント治療の提供 |
ストレス解消音楽アプリの開発と販売 |
オンラインバーにおけるライブ配信アプリと独自システムの融合 |
あらゆる規模のECサイトに定期購買の機能が組み込めるアプリサービスの開発事業 |
食にITの力を掛け合わせる新しい「フードテック」サービスのアプリケーション開発 |
クラウドとアプリで実現するシェアハウス入居手続の完全非対面化 |
独自アプリケーション開発による次世代予防医学のモデル事業 |
19万ユーザーが利用するスマホアプリの改修による業績拡大施策 |
イベントに特化したAI婚活アプリによる新展開 |
iOSアプリ営業支援システム開発による非対面型ビジネスモデル構築 |
葬儀運営のIT化と故人の遺品や情報の保存連絡可能なアプリ開発 |
教育動画キュレーションアプリ『Liew』の開発とプロモーション |
間隔反復ロジック搭載の英単語アプリ開発及び販売 |
全国初!遠隔撮影アプリを活用したリモート撮影サービスの実現 |
イベントマッチングアプリを活用した事業活性化策 |
非対面型買取再販用モバイルアプリ導入計画とコロナ影響回避計画 |
出前サービス利用高齢者へのコロナ禍解消と利用促進の為の非対面化アプリ導入 |
オンライン学習教材を音声認識技術を用いて素早く作成するアプリの開発 |
製麺機の導入、顧客管理アプリの開発によるラーメン事業の強化 |
見てて飽きない新しいオンライン映像授業サービスのウェブ・スマホアプリの開発 |
まとめ
今回はアプリ開発でものづくり補助金は利用可能である点と採択事例やポイントについて解説してきました。
ポイントをまとめると下記の通り。
- ものづくり補助金は製造業以外にもIT関連やサービス業が対象で、アプリ開発も補助対象に含まれる。
- 業務効率化や新規性を重視し、具体的な成果を示した計画が採択されやすい。
- 補助対象経費には、システム構築費、クラウド利用費、外注費などが含まれる。
- 審査を意識し、効率化、生産性向上、新サービス創出といったキーワードを活用する。
- 過去の採択事例を参考にしつつ、計画の具体性や実現可能性を重視した申請書を作成する。
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