【2025年版】第19次ものづくり補助金のスケジュール予想と変更点を解説!
ものづくり補助金は、中小企業の生産性向上や新技術導入を強力に後押しする制度として、多くの事業者から注目されています。2025年に実施が予定されている第19次公募については、令和6年度補正予算で継続が確定しており、制度自体も大幅なアップデートが見込まれています。
本記事では、第19次ものづくり補助金のスケジュール予想と、前回(第18次)からの主な変更点について詳しくご紹介します。新規申請を検討している方や、事前に準備を進めたい方に役立つ情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。
ものづくり補助金とは
(中小企業庁 2025年度第19次ものづくり補助金事業概要)
ものづくり補助金とは?
中小企業や小規模事業者が、新製品・サービスの開発や生産プロセスの改善を行う際に必要な設備投資を支援する補助金です。生産性向上や競争力強化を目的とし、革新的な取り組みを後押しします。
※12/17の補正予算案成立により、2025年の実施も正式に決定しました。
ものづくり補助金概要(2025年 第19次予定)
基本要件 | ||
以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画書の策定及び実行
※最低賃金引上げ特例適用事業者の場合、基本要件は①、②、④のみとする。 ※3~5年の事業計画に基づき事業を実施し、毎年、事業化状況報告を事務局へ提出する必要があります(事業成果確認のため)。 |
支援内容 | |
---|---|
補助対象 | ①<製品・サービス高付加価値化枠>革新的な新製品・新サービスの開発による高付価値化 ②<グローバル枠> 海外事業の実施による国内の生産性向上 |
対象業種 | – 製造業 – 建設業 – 情報通信業 – サービス業 など広範囲 |
補助上限額 | 最大 4,000万円 ※大幅賃上げ特例あり。詳細は次の章にて。 |
補助率 | 中小企業:1/2、小規模事業者:2/3、再生事業者(①枠のみ):2/3 ※最低賃金引上げ特例あり。詳細は次の章にて。 |
その他 | 収益納付はもとめない |
補助対象経費 | <共通>機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費 <グローバル枠のみ>海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費 |
公募回数 | 年4回程度(予定) |
(中小企業庁 令和6年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の概要)
2025年度の各種補助金は、厳しい景況感を反映して、全体的に拡充されています。補助上限額の引き上げや要件の緩和など、より利用しやすい制度へと進化しており、これから申請を検討している企業にとっては大きなチャンスと言えるでしょう。
続く章では、2025年度のものづくり補助金のスケジュール予想や主な変更点について詳しく解説していきますので、ぜひご確認ください。
2025年(19次公募)ものづくり補助金のスケジュール予想
2025年度のものづくり補助金(第19次公募)については明確なスケジュールはまだ公開されておらず、以下、過去の実績からの予想となります。
項目 | 時期(予想) | 詳細 |
---|---|---|
公募開始 | 公募開始:2025年1月中旬 公募締切:2025年3月末 | 過去の公募実績から、2025年1月~2月頃に公募開始の可能性が高い。通常、補正予算成立後に公募が始まり、締め切りは3月頃になる傾向。 |
交付決定・事業開始 | 採択結果発表:2025年5月中旬 事業開始:2025年6月~ | 採択結果は公募締切から約2ヶ月後に発表され、その後交付決定が行われる。事業開始は2025年6月頃を予定。 |
実績報告・補助金交付 | 事業完了期限:2025年12月~2026年3月 補助金交付:2026年4月~ | 事業完了後、報告書を提出し審査を経て補助金が交付される。事業完了期限は2025年12月~2026年3月で、補助金交付は2026年4月以降。 |
2025年(19次公募)ものづくり補助金の主な変更点
2025年度のものづくり補助金では、以下の大きな変更がなされる見込みです。特に、『収益納付の廃止』は申請者の皆様にとって非常に大きなメリットとなる改善と言えるでしょう。
① 申請枠の統合
2024年度に設置されていた省力化(オーダーメイド)枠「省力化オーダーメイド枠」や「成長分野進出枠」は廃止、「製品・サービス交付価値化枠」と「グローバル枠」の2つに統一されます。
- 製品・サービス交付価値化枠:新製品・新サービスの開発が必須。
- グローバル枠:海外市場開拓や展示会出展など海外展開を支援。
今後、中小企業省力化投資補助事業で、オーダーメイド形式も対象となる支援型が新設されるため、省力化枠はそちらへシフトしたものと思われます。
②要件「給与支給項目」の変更
基本要件のうち、「②一人当たりの給与支給総額」に関する項目が変更となりました。
【2024年度】1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、最低賃金の年平均成長率以上または給与支給総額の年平均成長率1.5%増加 |
⇒【2025年度】1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、最低賃金の年平均成長率以上または給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加 |
③補助金額・補助率の引き上げ
主な変更点
- 補助上限額の見直し=従業員数に応じた補助上限額が改定され、特に従業員数21人以上の事業者では最大1000万円となります(大幅賃上げ特例※1)。
- 補助率の引き上げ=最低賃金の引き上げに取り組む事業者に対し、補助率が1/2から2/3に引き上げられます(最低賃金引上げ特例※2)
- 2024年度の補助上限額は最大8000万円(オーダーメイド枠)でしたが、この支援枠が廃止され、2025年度の補助上限額はグローバル枠の4000万円に。
<製品・サービス交付価値化枠>
補助額 | ||
---|---|---|
従業員数 | 補助金額 | 大幅賃上げ特例(※1)適応時 |
5人以下 | 750万円 | 850万円 |
6~20人 | 1,000万円 | 1,250万円 |
21~50人 | 1,500万円 | 2,500万円 |
51人以上 | 2,500万円 | 3,500万円 |
補助率 | ||
中小企業1/2、小規模・再生2/3 ※最低賃金引上げ特例適用(※2)の場合は、中小企業も2/3 |
<グローバル枠>
補助額 | |
---|---|
補助金額 | 大幅賃上げ特例適応時 |
3,000万円 | 3,100万円~4,000万円 |
補助率 | |
中小企業1/2、小規模2/3 |
※1【大幅賃上げ特例】
①給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上増加、②事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水準を満たしている場合、補助上限額が100~1,000万円上乗せされます。ただし、最低賃金引上げ特例事業者、各申請枠の上限額に達していない場合は除外です。また①、②のいずれか一方でも未達の場合、補助金返還義務があります。
■基本要件との違い
要件 | 基本要件 | 大幅な賃上げに取り組む事業者 |
---|---|---|
① 付加価値額 | 年平均成長率3%以上 | 同左 |
② 給与支給総額 | 年平均成長率1.5%以上増加 | 年平均成長率6%以上増加 |
③ 最低賃金 | 地域別最低賃金+30円以上の水準とする | 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上の水準にしたうえで、毎年、事業場内最低賃金を+50円以上増額 |
④ 補助金返還の要件 | ・事業計画終了時点において上記②が未達の場合、補助金の一部を返還 ・事業計画期間中の毎年3月末時点において上記③が未達の場合、補助金の一部を返還 | ・事業計画終了時点において上記②が未達の場合、補助金上乗せ分を返還 ・事業計画期間中の毎年3月末時点において上記③が未達の場合、補助金上乗せ分を返還 |
給与支給総額を年率平均1.5%増加に加え、追加で4.5%の増加、合わせて6%以上の増加をする必要があります。
大幅な賃上げを目指す事業者は、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上の水準を満たし、以後、毎年、前年度の時給に対して+50円以上の賃上げが必要となる点に注意が必要です。
(例)【東京都】最低賃金=1,113円。応募時点の事業場内最低賃金が1,200円とすると、追加要件として毎年50円ずつ賃上げをする必要があります(基本要件のみ満たす場合は+30円づつ)。
前年度の時給 | 賃上げ額 | 事業場内最低賃金(時給) | |
応募時点 | ― | ― | 1,200円 |
1年後 | 1,200円 | 50円 | 1,250円 |
2年後 | 1,250円 | 50円 | 1,300円 |
3年後 | 1,300円 | 50円 | 1,350円 |
4年後 | 1,350円 | 50円 | 1,400円 |
5年後 | 1,400円 | 50円 | 1,450円 |
※2【最低賃金引上げ特例】
中小企業向けの補助率は基本的に1/2ですが、指定された期間内に、3ヵ月以上”地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員”が全従業員数の30%以上の場合、最低賃金引き上げ特例により補助率が2/3に引き上げられます。しかし、基本要件のうちいずれかの要件を達成できない場合、補助金の返還義務があります。また、小規模事業者や再生事業者の補助率は2/3です。
④ 収益納付の廃止
これまで、ものづくり補助金を活用した事業で収益が発生した場合、その一部を国に返納する「収益納付」が義務付けられていました。しかし、2025年度の19次公募からは、この「収益納付」が廃止される見込みです。
収益納付とは?
収益納付とは、補助事業で利益が出た場合、その一部または全額を国に返還する制度のことです。以前は、ものづくり補助金を受けた事業者が収益を上げた場合、補助金交付額を上限にその収益の一部または全部を国庫に返納する必要がありました。
2025年度からの変更点
2025年度からは、収益が発生しても補助金を返還する義務がなくなります。
「中小企業の成長を加速させるという観点から、財務当局と調整した結果、収益納付を求めないこととなりました」(中小企業庁イノベーションチームの説明より)
これにより、補助金を利用した後の収益の一部を返納する負担がなくなり、収益をそのまま事業拡大や成長戦略へと活用することができるようになりました。
収益納付の詳細については、下記の記事でさらに詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
⑤
新要件「次世代法に基づく一般事業主行動計画」の公表21人以上の事業者は、「次世代育成支援対策推進法」に基づき、育児休業促進のための行動計画を公表する必要が追加されました。
主な補助対象経費
ものづくり補助金で補助対象となる経費は以下の通りです。必須項目もありますので、ご注意ください。
項目 | 内容 |
---|---|
必須経費 | – 機械装置費 – システム構築費 |
補助対象経費 | – 技術導入費 – 専門家経費 – 運搬費 – クラウドサービス利用費 – 原材料費 – 外注費 – 知的財産権等関連経費 |
グローバル枠限定経費 | – 海外旅費 – 通訳・翻訳費 – 広告宣伝費 |
生産性向上のための設備投資やシステム構築が補助の中心ですが、グローバル枠では海外市場展開に関連する費用もカバーされます。
「第19次ものづくり補助金」申請時の注意点
第19次ものづくり補助金を申請する際には、いくつかの重要な注意点があります。これらを確認し、計画を慎重に立てることが、申請成功への鍵となります。
1.新製品・新サービス開発が必須
第19次公募では、申請の際に「生産プロセスの改善」だけでは不十分です。必ず新製品や新サービスの開発を含む事業計画が求められる見込みです。これにより、単なる生産性向上ではなく、革新的な製品やサービスの導入が重視されます。
2.基本要件未達成のリスク
給与支給額、最低賃金、付加価値額など、基本要件を達成できなかった場合、補助金の返還が求められる可能性があります。申請前にこれらの要件を満たしているか確認し、計画的に進めることが重要です。
3. 事業計画の精度
事業計画の策定は非常に重要です。採択後に要件を達成できないリスクを避けるためには、現実的で達成可能な計画を立てる必要があります。計画の内容が不確定であると、後の段階で問題が生じやすくなります。
4.必要経費の確認
補助対象となる経費や必須経費をしっかり把握し、事業計画に含めることが必要です。これをクリアにしておかないと、後々補助金の対象外となる可能性があります。
補助対象経費については、以下の記事で詳しくご説明していますので、ご一読ください。
5.交付申請後のスケジュール管理
採択後は、進捗状況の報告や補助金の交付申請などが必要です。スケジュールを適切に管理し、期限内に必要な手続きを完了させることが求められます。
まとめ
2025年のものづくり補助金(第19次公募)は、これまで以上に大規模な設備投資や賃上げの支援を強化しています。以下のポイントが主な変更点です。
- 申請枠が2つに統合:「製品・サービス交付価値化枠」と「グローバル枠」
- 補助金額の引き上げ:「大幅賃上げ特例」により補助金額が最大4,000万円に引き上げられ、大規模な設備投資に対応可能に。
- 補助率の引き上げ:「最低賃金引上げ特例」により、中小企業の補助率が2/3に引き上げられました。
- 賃上げ要件の強化:基本要件の給与支給項目が厳しくなり、厳格化され、大幅な賃上げを行った企業には特例措置が導入されました。
- 収益納付の廃止:収益をそのまま事業拡大や成長戦略へと活用することができるようになりました。
- 21人以上の事業者への新要件:次世代法に基づく行動計画の公表が必須となり、規模の大きい事業者には新たな責任が求められます。
※ものづくり補助金 19次公募の実施が決まりました。公募日などの詳細は、決まり次第当ブログにてご紹介します。
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